「広告のクリックは取れているのに、LPでCVR が低くて悩んでいる」
「LPのどこをどう直せばCVR が上がるのか、感覚で判断するしかない」
自社でMeta広告などを運用している担当者なら、誰もが一度はぶつかる悩みです。LP(ランディングページ)の改善はCVR を大きく左右しますが、「何を見て、どこを直せば改善するか」を判断するのは経験者でも難しいもの。
そこで活躍するのが、Microsoft が無料で提供している分析ツール「Clarity(クラリティ)」です。Clarity を使えば、LPでユーザーがどこをクリックして、どこで離脱したかを「録画で目で見られる」ようになります。
この記事を読むとわかること:
- Clarity とは何か(無料で使える定番の分析ツール)
- Clarity の設置手順(3ステップ)
- CVR改善で見るべき5つの指標と優先順位
- LP改善の分析フレーム(3ステップで原因を特定)
- 広告流入のLP分析で特に見るべき3つの観点
- 録画機能の効果的な使い方
広告費が限られる中小零細・個人事業主の方こそ、無料のClarityをフル活用してLP のCVR を底上げしましょう。
結論:CVR改善は「感覚」ではなく「行動データ」で進める
最初にお伝えしたいのは、LPのCVR改善は「感覚」では限界があるということです。
「ファーストビューはもっとインパクトを」「文字をもっと大きく」など、感覚ベースで改修を繰り返しても、本質的な離脱原因にたどり着けないことが多々あります。
Clarity を使えば、ユーザーがLPでどう動いたか、どこで離脱したかが、録画で目に見えるようになります。「なぜ離脱したか」が分かれば、改善ポイントは自ずと明確になります。
特に広告費が限られる事業者ほど、無料で使えるClarity を活用するメリットは大きいです。広告予算を増やす前に、LP のCVR を1.5倍にすれば同じ広告費で1.5倍の成果が得られるからです。
Clarity とは:無料で使えるLP分析ツールの定番
まずClarity の概要を簡単に説明します。
Microsoft が提供する完全無料ツール
Clarity はMicrosoft が提供する無料のWeb解析ツールです。「無料」と聞くと機能制限が気になりますが、主要機能はすべて無料で、トラフィック量の制限もありません。
サイトのPV が月間数万でも数百万でも、無料で全機能を使えます。
主要な3つの機能
Clarity の3大機能は以下の通りです。
- ヒートマップ:ページ上のどこがクリック・スクロールされたかを色で可視化
- セッション録画:個別ユーザーの行動を動画として再生
- ダッシュボード:直帰率・スクロール深度・離脱箇所などの集計データ
特にセッション録画は他の無料ツールでは見られない強力な機能で、これだけでもClarity を導入する価値があります。
設置はタグ1つで完了
Clarity の設置は、サイトにタグを1つ埋め込むだけです。Googleタグマネージャー経由でも、テーマファイルへの直接埋め込みでも対応可能。設置から24時間程度でデータが見られるようになります。
Clarity の設置手順(3ステップ)
具体的な設置手順を見ていきます。
Step 1: アカウント作成(Microsoftアカウントでログイン)
- Clarity の公式サイト(clarity.microsoft.com)にアクセス
- 「Microsoftアカウント」「Google アカウント」「Facebook アカウント」のいずれかでログイン
- 規約に同意して登録完了
ログインだけで使い始められるので、面倒な手続きはありません。
Step 2: プロジェクト作成・タグ取得
- ダッシュボードで「新規プロジェクト」をクリック
- プロジェクト名(任意)とサイトURL を入力
- 業種カテゴリを選択
- 作成完了後、Clarity タグ(JavaScriptコード)が表示される
このタグをコピーしておきます。
Step 3: Googleタグマネージャー or 直接埋め込みで設置
設置方法は2通りあります。
- おすすめ:Googleタグマネージャー経由
- タグマネージャーの「カスタムHTML」タグとして登録
- トリガーは「All Pages」
- これでサイトの全ページにClarity タグが配信される
- 直接埋め込み
- サイトのテンプレートファイル
<head>内に貼り付け - 共通ヘッダーに記述すれば全ページに配信される
- サイトのテンプレートファイル
設置後、自分でサイトにアクセスしてみて、24時間ほど経つとダッシュボードにデータが表示されます。
Googleタグマネージャーの基本的な使い方は、こちらの記事で詳しく解説しています。 → Googleタグマネージャーで広告タグやピクセルを設置する具体的なメリットと手順
CVR改善で見るべき5つの指標(優先順位順)
Clarity には多くの指標がありますが、LP のCVR 改善に直結する指標は5つだけです。これらを順番に確認すれば、改善ポイントの8割は見つかります。
指標1:ファーストビュー離脱率(最重要)
LPに到達してからスクロールせずに離脱したユーザーの割合です。最も重要な指標で、ここの離脱率が高ければ、それより下の要素はそもそも見られていません。
- 目安:30%以上なら要改善
- 原因:広告とLPの不一致、ファーストビューの訴求不足、ページ読み込みの遅さ
指標2:スクロール到達率
LPのどの位置までスクロールしてくれたかを表す指標です。「全体の何%が読まれているか」が分かります。
- LP の50%地点で離脱率が急に上がる → その箇所に離脱要因がある
- 例:長すぎる説明・分かりにくい料金表・興味を引かない見出し
指標3:クリックヒートマップ
ユーザーがどこをクリックしているかを可視化します。
- CTA ボタン以外がクリックされている → 誤クリックを誘発している
- 画像やアイコンがクリックされている → リンクと思われている
意図しない場所のクリックが多いと、ユーザーは「迷っている」状態です。
指標4:レイジクリック率
短時間に同じ場所を何度もクリックしているユーザーの割合です。これは「ボタンを押したのに反応しない」「期待と違う動きをした」というイライラの兆候です。
- 高いと検出される箇所:リンクと思った場所がリンクじゃない / フォームのバリデーションエラーが分かりにくい
指標5:フォーム到達後の離脱率
LPの最終目的(フォーム送信)に到達したユーザーのうち、実際に送信せずに離脱した割合です。
- 高い場合:フォーム項目が多すぎる、入力が分かりにくい、エラーが多発している
この5つを順に見れば、改善ポイントの8割は特定できます。
【LP改善の分析フレーム】3ステップで原因を特定する
Clarity を使う上で大切なのが、「データ → 仮説 → 検証」の流れを習慣化することです。具体的には以下の3ステップで分析します。
Step 1:ダッシュボードで「離脱パターン」を把握
最初は全体の傾向を把握します。
- ページごとの直帰率
- スクロール深度の平均
- 滞在時間の分布
ここで「どのページで問題が起きているか」をざっくり掴みます。
Step 2:ヒートマップで「どこで止まっているか」を確認
問題のページを特定したら、ヒートマップで詳細を見ます。
- スクロールヒートマップ:どこで読まれなくなっているか
- クリックヒートマップ:意図しない場所がクリックされていないか
- アテンションヒートマップ:どこに注目が集まっているか
これで「どの場所で離脱しているか」が見えてきます。
Step 3:録画で「なぜ止まったか」を実際に見る
最後にセッション録画で個別ユーザーの行動を確認します。
- 「ファーストビューで2秒以内に離脱した動画」を10件見る
- 「スクロールはしたがCTA を押さずに離脱した動画」を5件見る
- 「フォーム途中で離脱した動画」を5件見る
これで「なぜそこで離脱したのか」の仮説が立てられます。
広告流入のLP分析で特に見るべき3つの観点
Meta広告などからの流入は、SEO流入とは違う特徴があるので、広告流入特有の分析観点があります。
観点1:広告のキャッチとLPファーストビューの一致度
広告で約束した内容と、LPファーストビューで提示している内容にズレがあると、即離脱されます。
Clarity のセッション録画で「ファーストビューで2秒以内に離脱した動画」を見て、自社の広告クリエイティブと並べて比較してみましょう。
広告とLPの一貫性については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → Meta広告のCVR を上げる鍵は「広告とLPの一貫性」|6要素で点検
観点2:広告クリック直後の数秒の挙動
広告経由のユーザーは、SNSの自然な投稿モードからいきなり広告に飛ぶため、温度感が違います。録画を見ると、最初の数秒で「あれ?」と戻る挙動がよく見られます。
- スマホでフリック戻る
- ページ全体を見渡す(迷っている)
- 数秒で離脱
これらは広告とLPのギャップが大きいサインです。
観点3:流入経路ごとに分けて分析(広告 vs 検索 vs 直接)
Clarity のセッションフィルタで、流入経路ごとに録画やヒートマップを見られます。
- 広告流入(utm_sourceなど)
- オーガニック検索流入
- 直接訪問
広告流入だけ離脱率が高い場合、LP全体の問題ではなく、広告とLPの一貫性の問題と判断できます。
録画機能の活用:「離脱動画を10件見る」習慣
Clarity の中で最も強力なのがセッション録画です。これを使いこなすコツは、「定期的に離脱動画を10件見る」習慣を作ること。
なぜ「10件」なのか
1〜2件だと特殊なケースの可能性があります。10件見ると、共通する離脱パターンが見えてきます。
- 8件がファーストビュー2秒で離脱 → 広告とLPの一貫性の問題
- 6件がフォーム途中で離脱 → フォームの問題
- 5件が料金表で離脱 → 価格に対する説明不足
セッションフィルタの使い方
膨大な録画の中から「見るべき録画」を絞るには、フィルタを使います。
- 離脱した時間:「30秒以内に離脱」で絞る
- スクロール深度:「30%以下で離脱」で絞る
- デバイス:「モバイルのみ」で絞る
- 流入経路:広告流入のみで絞る
これで「広告から来たけどファーストビューで離脱した動画」のような狙ったセグメントだけを見られます。
Clarity で改善ポイントを見つけたら:次のアクション
データから改善ポイントを発見したら、次は具体的な修正に進みます。
仮説に基づくLP修正
たとえば「ファーストビューで離脱が多い」と判明したら、ファーストビューのテキスト・ビジュアル・ボタン配置を見直します。
「フォームで離脱が多い」と分かれば、フォーム項目を減らす・分割する改修を試します。
広告との一貫性の見直し
広告流入の離脱が多い場合は、広告クリエイティブとLPファーストビューの一致を点検します。 → Meta広告のCVR を上げる鍵は「広告とLPの一貫性」|6要素で点検
改修後は再度Clarity で効果検証
改修した直後と1〜2週間後にClarity でデータを再確認し、改善が効いたかを検証します。データが改善されていれば成功、変わらなければ別の原因を探ります。
A/Bテストとの組み合わせ
可能であれば、改修前後のLPでA/Bテストを行うとさらに精度が上がります。Clarity はA/Bテストツールではないので、別のツール(GoogleオプティマイズやVWOなど)と組み合わせて使います。
まとめ
ClarityでLP のCVR を改善するポイントを整理します。
- CVR改善は「感覚」ではなく「データ」で進める
- Clarity は無料、トラフィック制限なし、設置はタグ1つ
- 見るべき5指標の優先順位:ファーストビュー離脱率→スクロール到達率→クリック→レイジクリック→フォーム
- 分析フレーム:ダッシュボード→ヒートマップ→録画の3ステップ
- 広告流入は特別な観点で見る:広告とLPの一貫性・流入経路別分析
- 離脱動画を10件見る習慣で改善仮説を立てる
自社で運用しているなら、広告予算を増やす前にClarity でLP を磨き上げるのが最もコスパの高い改善策です。今日から導入して、CVR を底上げしていきましょう。

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